【Switch】『スター・オーバードライブ』レビュー:ゼルダ好き必見!ホバーボードで駆け抜けるSF冒険活劇

ゲームのレビュー

発売日:2025年4月10日
対応機種:Nintendo Switch
価格:パッケージ版4,500円(税込)/ダウンロード版3,960円(税込)
ジャンル:オープンワールドSFアクションアドベンチャー
開発:Caracal Games/販売:3goo

この記事でわかること

  • ゼルダファンも唸る探索型オープンワールドの魅力
  • 忙しい社会人でも無理なく遊べるボリューム感
  • ホバーボードでの高速移動が実現する爽快感
  • インディーながらUnreal Engine 5で描かれる美しい世界

ゲーム概要:ホバーボードで駆け抜ける未知の惑星

『スター・オーバードライブ』は、ホバーボードに乗って広大な惑星を探索するSFアクションアドベンチャーゲームです。主人公バイオスは行方不明となった恋人ノウスからの遭難信号を追い、謎の惑星「セベテ」に不時着します。そこで相棒のホバーボードとショルダーキーボード型武器「キーター」を手に、惑星各地のパズルに挑みながら恋人救出を目指す物語です。

本作の基本コンセプトは「オープンワールドの探索」×「ホバーボードでの高速移動」×「パズル解決」の3要素。170平方kmに及ぶ広大な惑星を自由に駆け巡りながら、謎を解き明かしていく作品となっています。

基本情報まとめ

項目内容
プレイ時間メインストーリー約15時間、サブクエスト含め約25時間
難易度中程度(初心者〜中級者向け)
プレイ人数1人(シングルプレイ専用)
レーティングCERO B(12歳以上対象)
開発元Caracal Games(イタリアのインディースタジオ)
販売元3goo(日本)/Dear Villagers(海外)

プレイ時間と難易度:忙しい社会人でも遊びきれる適度なボリューム

プレイ時間

  • メインストーリーのみ:約15時間
  • サブクエスト含む総プレイ時間:約25時間

公式サイトによれば「シナリオクリアまで約15時間、サブクエストを含む総プレイ時間は約25時間の大ボリューム」とされています。実際にプレイした方の声では「クリアに26時間ほどかかった」との報告もあり、遊び方によって20〜30時間程度が目安でしょう。

大作RPGと比べるとコンパクトな印象ですが、むしろこれは時間のない社会人ゲーマーには嬉しいポイント。週末に少しずつプレイしても1ヶ月程度でエンディングまで到達できる適度なボリュームです。

難易度

難易度は高すぎず低すぎずの中程度。序盤から自由度が高いものの、敵との戦闘やパズル解答で詰まるような理不尽さはありません。ストーリー上登場するボス敵には明確な弱点や攻略法が設定されており、セオリー通りに対処すれば問題なく倒せる適正な難易度です。

ゲーム内にイージーモードなどの難易度選択は存在しませんが、オープンワールドの特性を活かして「難しいエリアは後回しにする」「素材集めや強化を進めてから再挑戦する」など自分のペースで調整できます。

ゲームの特徴・魅力:3つの核となる要素

1. 超高速ホバーボード移動

本作最大の魅力は、ホバーボードによる爽快な移動体験です。主人公の相棒である浮遊スケボー「ホバーボード」に乗って、オープンワールドを縦横無尽に駆け巡れます。

地形のあらゆる坂をジャンプ台代わりにして空中でトリックを決めると、着地時に一気にブースト加速できるシステムで、スノーボードゲームのようなスピード感とテクニック要素があります。ファストトラベル(瞬間移動)は限られているため、基本的に移動は常にホバーボード主体ですが、その疾走感は折り紙付きで「ずっとホバーボードで走り回っていても飽きない」と評判です。

さらにホバーボードは各地で入手する素材を投入することで性能強化が可能。速度や操作性、重力制御などステータスを細かく向上でき、ゲームの進行に合わせてボードがどんどんパワーアップしていきます。

2. キーターで戦闘&特殊能力発動

肩掛けキーボード型の武器「キーター」を使った独特の戦闘とギミック解決も魅力です。キーターは近接武器として敵を殴るように使えるほか、ストーリー進行に応じて最大6種類の特殊能力を習得します。

例えば、設置するとトランポリンのように高く跳ね上がれる「エナジービーム」や、物体を掴んで動かしたり投げたりできる「グラブ」、敵モンスターを誘惑して特定の場所まで誘導できる「チャーム」など、多彩な能力を戦闘と探索の両面で駆使可能。

能力はリアルタイムで発動できるため、戦闘中に敵を掴んで投げつけたり、足元にジャンプ台を設置して奇襲攻撃するなど、ダイナミックなプレイが楽しめます。

3. 謎解きパズル(採掘地点)

オープンワールド各地には「採掘地点」と呼ばれる地下空間への入り口が点在しており、中では独立した3Dパズルアクションに挑戦できます。まさに『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』の祠に相当するダンジョンです。

キーターの特殊能力を駆使して仕掛けを解いていく頭脳ゲームで、重さが足りないスイッチをどう押し続けるか、タワー状のオブジェを伸縮させてトランポリンで頂上まで到達する方法は?など、ひらめきと発想力が試される良質なパズルが多数用意されています。

難易度はほどよく歯ごたえがあり、パズルクリアでキーターの能力強化や素材入手などご褒美があるため、探索好きな人にはたまらない要素です。

開発・販売元:小規模スタジオが生み出した意欲作

本作を開発したCaracal Games(キャラカルゲームズ)は、イタリア・ローマに拠点を置くインディーゲームスタジオです。2015年に3人でスタートし、2017年に発表したデビュー作『Downward』でイタリアのインディーアワードを受賞するなど注目を集めました。

本作『スター・オーバードライブ』はCaracalにとって初の大規模オープンワールド作品であり、12名ほどの少人数チームで約3年かけて開発された意欲作です。過去作の一人称視点パルクールゲーム『Downward』では美しい廃墟世界を駆け巡る爽快感が魅力でしたが、今作でもその持ち味をさらに発展させています。

日本国内版の販売を手掛けるのは株式会社3gooです。3gooは海外ゲームの家庭用機向けパブリッシングを得意とするメーカーで、『Dead by Daylight』をはじめ多数の海外タイトルの日本展開実績があります。本作の価格設定はパッケージ版4,500円(税込)、DL版3,960円(税込)と比較的手に取りやすく、大作ゲームの半額程度に抑えられています。

グラフィック・演出・BGMの評価

グラフィック

本作はNintendo Switch作品としては珍しくUnreal Engine 5を採用しており、4つのエリアから成る壮大なオープンワールドを美しく表現しています。セルシェーディング調のパステルカラーで描かれた景観は非常に鮮やかで、「ビジュアルデザインはとにかくリッチで美しい」と海外レビュワーが称賛するほどです。

広大な空、特徴的な浮遊岩や遺跡群など、独特の近未来SF的な世界観が画面いっぱいに広がり、プレイヤーを未知の惑星に没入させます。特に空中を高速で滑空したり大ジャンプする際の開放感は素晴らしく、Switch携帯機でもここまで壮大な景色とスピード感を両立できるのかと驚かされます。

一方で、一部では処理落ち(フレームレート低下)やカクつきが発生する場面も報告されています。特にホバーボードで高速移動中や激しい戦闘時に一瞬画面が止まることがあり、人によっては「不安定なフレームレートで酔ってしまった」という声も上がっています。

サウンド・BGM

音楽面では、主人公の武器が「ギター型」ということもあり、シンセサウンド主体のロック調BGMが採用されています。80年代を思わせるレトロフューチャーなサウンドトラックはゲームの雰囲気とマッチしており、「レトロなサントラが最高にクールだ」と高評価するレビューもあります。

探索中は神秘的かつ爽快感のある曲が流れ、疾走する気分を盛り上げてくれる一方、戦闘BGMには「シンプルすぎる」「フリー素材のよう」といった辛口評価も見られました。ただし総じて80年代テイストの電子ロック音楽が好きな人には刺さるはずの仕上がりです。

レビュー評価:「荒削りだが光る個性」との評価多数

批評家スコア

発売直後の評価は概ね**7/10前後の「良作」**という評価が多いです。

  • OpenCritic:トップ批評家平均スコア74点
  • Metacritic:67/100(「まずまず好評だが賛否あり」)

具体的なレビューでは、「様々な名作のエッセンスを取り入れつつ独自の高速移動メカニクスを加えた野心的な冒険で、不均一な部分もあるが全体としては楽しめる」という趣旨の評価が目立ちます。

肯定的な評価

高評価を与えたレビューでは、やはりホバーボードで高速に駆け回る爽快感が最大の魅力として挙げられています。

  • 「星全体がスケートパークのようで滑り回るのが本当に楽しい」
  • 「レトロな雰囲気と独特の世界観がクセになる」
  • 「小規模チームの作品としては驚くほど完成度が高い」

CGMagazineは本作に80/100点をつけ、「時に他作品の焼き直しに感じる部分もあるが、それでもユニークな中心コンセプト(ホバーボード)が光る堅実なゲーム。10人のチームがよくここまで壮大な世界とゲームプレイを実現したと思う」と称賛しています。

否定的な意見

中〜低評価をつけたレビューでは戦闘部分の出来やゲーム展開の単調さが指摘されています。

  • 「通常戦闘が作業的で盛り上がりに欠ける」
  • 「独創性に欠け、良くも悪くもゼルダの二番煎じに感じる部分がある」
  • 「技術的な不安定さ(処理落ちやカメラ挙動の癖)」

多くの批評家が共通して挙げるマイナスポイントは戦闘の単調さとカメラ制御で、「ホバーボードに乗るとカメラを自由に動かせず周囲を見渡しにくいのでストレスを感じた」「戦闘時にロックオンがなく敵を見失いやすい」といった指摘もあります。

ユーザー評価

一般プレイヤーからの評価は概ねポジティブで、Metacriticのユーザースコアは8.6/10と批評家評価より高めになっています。発売直後のSNS上でも「ゼルダ好きなら絶対ハマる、Switchの新作オープンワールドが面白い!」といった声が見られ、探索好きのゲーマーを中心に好意的に受け入れられているようです。

総じて「価格以上には楽しめる良作」との捉え方が多く、特に社会人層やコアすぎないカジュアルゲーマーからは「広大だけど遊びやすいサイズ感でちょうどいい」「グラフィックや操作感が思った以上に良くて驚いた」といった感想が上がっています。

注意点・惜しい点:遊ぶ前に知っておきたいこと

本作の弱点や注意点をまとめると以下のようになります:

戦闘の粗さとカメラワーク

本作の戦闘はシンプルで爽快な反面、ロックオン不可かつカメラ操作に制限があり慣れるまでは戦いづらさがあります。特にホバーボード乗降時でカメラ挙動が変化し、敵を視界に捉え続けにくいという欠点があります。

「戦闘は移動ほど出来が良くなく、大型ボス戦でもカメラとの戦いになる」との指摘もあり、アクション部分の完成度は賛否が分かれるところです。

通常戦闘の単調さ

雑魚敵との戦闘はパターン化しやすく、作業的に感じる恐れがあります。「敵を見つけたらキーターで殴り倒すだけになりがち」「戦闘そのものはあまり手応えがなく、おまけ要素のよう」といった評価もあり、移動や謎解きに比べると戦闘の楽しさは見劣りします。

技術的な不安定さ

Switch版ではフレームレート低下やカクつきが発生するケースがあります。特にTVモードより性能の限られる携帯モードでは顕著との報告もあり、酷い場合は酔いやストレスの原因となりえます。

ごく稀にゲームが強制終了するといったバグ報告も発売直後には見られました。全体としてAAAタイトルと比べると最適化の甘さが感じられる場面があるのは否めません。

『ゼルダの伝説』との比較:類似点と相違点

本作はしばしば任天堂の『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド/ティアーズ オブ ザ キングダム』シリーズと比較されます。主な共通点と相違点を整理すると:

共通点

  • 広大なオープンワールドでの自由な探索:序盤から広い世界を好きな順序で冒険できる
  • 「塔」と「祠」に相当する要素:塔に登って地図開放、地下ダンジョンでパズル解決
  • 能力を駆使した環境パズル:重力操作や物体移動などの特殊能力でギミック解決
  • ビジュアルスタイル:セルシェーディングやパステルカラーの世界観

相違点

  • ホバーボードによる高速移動:最大の違いはここで、常にスケボーで高速移動する爽快感はゼルダ以上
  • SF世界観と物語性:中世ファンタジーと違い近未来SFで、80年代SFアニメや映画に通じるレトロフューチャー感
  • 戦闘システム:武器の種類が少なく、キーター+特殊能力+ボードでのアクション寄りの戦闘
  • ボリューム感:25時間程度とゼルダ(100時間以上)よりコンパクト

総じて「ゼルダ的な冒険の楽しさ」をベースにしつつ、「ホバーボードで駆ける爽快感」という個性を加えた作品だと言えるでしょう。

こんな人におすすめ:時間のない社会人ゲーマーにこそ

本作はどんな人におすすめできるでしょうか?特に以下のようなプレイヤーに向いています:

こんな人におすすめ

  • ゼルダの伝説シリーズが好きな人:オープンワールド探索やパズル解きの楽しさが似ています
  • スピード感のあるゲームが好きな人:スケボー・スノボーゲームでトリックを決める爽快感や、レースゲームでドリフトしながら疾走する感覚が好きな人に刺さります
  • あまりプレイ時間が取れない社会人ゲーマー:オープンワールドRPGに興味はあるけれど何十時間も遊べない人でも、本作なら20〜30時間程度で主要要素を遊び尽くせます
  • レトロSFやシンセウェーブ音楽が好きな人:80年代的な未来観や電子音楽の世界に浸れる本作の雰囲気は独特です

こんな人には向かないかも

  • 超高精細なグラフィックや洗練された操作感など大手ゲーム並みのクオリティを求める人
  • 戦闘の歯ごたえを重視するハクスラ好きや、重厚なストーリーを求める人
  • フレームレート低下など技術的粗さに敏感な人

総合評価:光るアイデアと爽快感が魅力の意欲作

『スター・オーバードライブ』は、大手スタジオの超大作とは一味違うインディー発の意欲作です。ホバーボードで広大な惑星を駆け巡る爽快感と、頭をひねるパズル、そしてレトロSFな世界観が見事に融合したユニークな一本となっています。

荒削りな部分や技術的な問題も確かにありますが、それらを補って余りある魅力が本作には備わっています。レビュー平均こそ7/10前後と平凡に見えるかもしれませんが、「ハマる人はとことんハマる」タイプのゲームと言えるでしょう。

迷っている方はまず無料体験版で序盤1時間をプレイしてみることをおすすめします。体験版はニンテンドーeショップで配信中で、ゲーム序盤のストーリー導入や基本操作を試せます。そこでホバーボードの心地よい操作感や雰囲気が気に入ったなら、ぜひ本編に飛び込んでみてください。

ゼルダ好きのあなたなら、この未知の惑星セベテでの冒険にきっとワクワクできるはずです。


まとめ:3つのポイント

  1. インディーゲームとしては充実した内容:25時間程度のボリュームは忙しい社会人でも完遊しやすく、価格4,500円以上の満足感あり
  2. ホバーボードの爽快移動が最大の魅力:高速で駆け抜ける移動体験は他のオープンワールドゲームにない独自要素
  3. ゼルダファンに特におすすめ:探索・パズル・発見の喜びを重視した設計は『ブレス オブ ザ ワイルド』ファンを満足させる出来栄え

おすすめ度:★★★★☆(4/5)
「荒削りだが魅力的な惑星探索アドベンチャー」

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